今、なぜホワイトカラー・エグゼンプションなのか?
最近になり急に騒がれ始めた感のある日本版ホワイトカラー・エグゼンプションですが、実は、1995年の日本経団連(当時は日経連)発表による「新時代の日本的経営」という報告書の中で労働コストの削減案を出してきています。そして、規制や法律を変えさせるよう行政に圧力をかけてきています。1995年から最近までの一連の流れを見てみましょう。

1995年発表の「新時代の日本的経営」
この報告書は労働者を3種類に分け、それぞれの分野によって賃金や雇用の形態を分類し、人件費のコストを削減しようとするものです。
長期的蓄積能力活用型のグループ
- 雇用形態:期間の定めない雇用契約、つまり終身雇用ということです。
- 対象となる職種:管理職、総合職、技能部門の基幹職、つまり幹部候補です。
- 賃金:月給制か年俸制、職能給、昇給あり
- 賞与:定率+業績スライド
- 退職金、年金:ポイント制
- 昇進、昇格:役職昇進、職能資格昇進
- 福祉施策:生涯総合施策
高度専門能力活用型のグループ
- 雇用形態:有期雇用契約、つまり自由雇用ということです。
- 対象となる職種:企画、営業、研究開発などの専門部門、つまり使い捨てです。
- 賃金:年俸制、業績給、昇給無し。すでにエグゼンプションされています!
- 賞与:成果配分
- 退職金、年金:なし、ってひどいですね!
- 昇進、昇格:業績評価
- 福祉施策:生活援護施策
雇用柔軟型のグループ
- 雇用形態:有期雇用契約、つまり自由雇用ということです。
- 対象となる職種:一般職、技能部門、販売部門、つまり派遣やパートタイマーです。
- 賃金:時間給制、職務給、昇給無し
- 賞与:定率
- 退職金、年金:なし、ってひどいですね!
- 昇進、昇格:上位職務への転換
- 福祉施策:生活援護施策
以上のことから日経連の狙いは、正規雇用を減らし非正規雇用を増やすことと、時間外の残業手当を減らすことなどにより、トータルの人件費のコストを下げることが目的と考えられます。日本版ホワイトカラー・エグゼンプションの全てはここからスタートしたのです。
2000年・みなし労働時間制度の導入
労働基準法によると「賃金は時間管理によって支払われる」とされていますが、ホワイトカラーの労働形態の変化により、時間だけでは労働の成果を知ることは出来なくなってきました。そこで何時間働いても一定時間働いたとみなす「みなし労働時間制度」を一部の業種に限り認め、労働基準法の例外として認めることになりました。年俸制と考えると分かり易いでしょう。
事業場外労働のみなし労働時間制度
外勤の営業職やほとんどの時間を事業所外で労働する者については、労働時間の管理が困難なため、労働基準法の「時間による賃金の管理」からは除外される制度になっています。
裁量労働制のみなし労働時間制度
研究開発や企画職などの業務の従事者には、労働時間や労務管理、作業の進め方などは従事者当人の裁量に任せたほうが良いとして、労働基準法の「時間による賃金の管理」から除外されています。裁量労働制の対象となる業務には「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」があります。
2003年・改正労働基準法の施行
裁量労働時間制の浸透が進まないことを受け、厚生労働省は対象事業場の拡大を盛り込んだ労働基準法の改正を行ないました。これにより労使間の協議の簡素化などが取り入れられ、裁量労働時間制の範囲がより広くなりました。
専門業務に指定されているもの
労働基準法の専門業務型裁量労働制に特定されているのは、以下の20の業種です。
・新商品や新技術の研究開発・情報処理システムの分析や設計・記事の取材や編集・デザインの考案・プロデューサーやディレクター・コピーライター・公認会計士・弁護士・一級建築士・不動産鑑定士・弁理士・システムコンサルタント・インテリアコーディネーター・ゲーム用ソフト開発・証券アナリスト・金融商品開発・二級建築士や土木建築士・税理士・中小企業診断士・大学教授
これだけの職種がすでにホワイトカラー・エグゼンプションともいえる労働形態になっているにもかかわらず、更に範囲を広げ労働コストの削減を計ろうとする日本版ホワイトカラー・エグゼンプションは、どんな制度になってしまうのでしょう?

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